憲法カフェvol.13「何が変わった?変わらない?憲法情勢と憲法の使い方」

6月21日(土)に、いつもの高円寺(インディアンサマー)で行われた憲法カフェ。参加者は15人でした。


今回は2部構成。1部のテーマは【「憲法」を巡る状況・「政治」との距離】2部は【なぜ憲法にこだわるのか(こだわるべきなのか)について】。いずれも、レジュメ準備と口火キリは憲法カフェメンバーでした。
かなり濃密な時間となりました〜。

【「憲法」を巡る状況】
憲法カフェを始めたのはちょうど1年前くらいです。また、国民投票法が可決・成立してから1年ちょっと(施行は4年後の2011年)。これを記念して、というと語弊があるかもしれませんが、この1年の変化をおさらいしました。
まず、示されたグラフで、「憲法を改正する」「憲法を改正しない」がこの6年の間に変動したこと(「改正する」56.9%→42.5% 「改正しない」29.3%→43.1%)、「草の根9条の会」の結成数の増加などを確認しました。
2007年5月 「日本国憲法の改正手続きに関する法律」成立
2007年9月 安倍内閣退陣、福田内閣誕生
国民投票法の成立によってメディアの「憲法」の扱いが一時期多くなった?)
2008年5月 「9条世界会議」成功に(?)終わる。
(草の根市民運動(特に9条の会)の成果? 急進的改憲勢力の台頭に対する危機感?)
その他、25条(生存権)への注目やマス・メディアでの露出UP。


【「政治」との距離】
この1年、年金問題や「後期」高齢者医療制度、ワーキングプア、食の安全問題、原油高騰など、私たちの生活に直結する政治問題が噴出してきました。政治が「身近」なものとして認識されつつあるのではないか?という点と、いわゆる「活動家」ではない人々の行動(高齢者のデモや「麻生コール」、「フリーチベット」など)が隆盛しつつあるのではないか、という点をスターターが指摘し、「政治の季節」が来つつあるのでは?と、参加者に投げかけました。


スターターの発言のあと、フリーディスカッション。
・「盛り上がってきてる」というのは分かるけど、自分の周りではそんなに感じない。
・生活に直結した政治課題について、みんなの関心が高まっていると思う。
・政治的であることへの拒否感は相変わらずでは。若い世代の成功体験の欠如とはよく言われるけど…。
・消費による自己実現が浸透していて、政治性が持てない状況がある。
・90年代の薬害エイズ訴訟は社会的認知のあった運動だった。それ以後、「スルー」と「シンパシー」でいえば、「シンパシー」の領域が増えたように思う。
憲法問題については、その「シンパシー」の領域に入るか入らないかのボーダーラインにあるように思う。
イデオロギー抜きで思考、共感できる問題は「シンパシー」できやすい。
薬害エイズ問題は分かりやすい「敵」がいた。
・「政治の季節」は来てないと思う(笑)。
・働いていた職場では、ヤフーニュースの「あの人死んだんだって」「あの人結婚したんだって」という話題だけだった。
・「スルー」と「シンパシー」のラインが動きつつある、という程度のことなのかも。
そのほか、さまざまな意見が出されました。この時間で話しきれなかったことは、第2部へ…。

【なぜ憲法にこだわるのか(こだわるべきなのか)について】
とかくこの世は生きづらい。でも「憲法」だけでは幸せにも自由にも、なれるわけではない。だけど…。

1.憲法が改変されると「さらに」生きづらくなりそう。
2.現行の憲法が歯止めになっている。「国会への命令」としての憲法が存在することのありがたさ。
3.すでに進行している「生きづらさ」と「憲法を改変しようという動き」は共通の背景があるのでは。
4.というわけで…


ざくっとしたスターターの話のあと(笑)、またまた自由にフリーディスカッション。

・「生きづらい」ということと「憲法」がつながった。1年前には自分になかった言葉だった。
憲法が改変されたら、もっと生きづらくなるのは明らかだろう。
憲法はそもそも、国家を暴走させないようにする足かせ、歯止め。それをゆるめたい人たちが改変したがっている。
・岩波の「世界」7月号に掲載されている渡辺治さんの文章、ぜひ読んでみては。
・ロマンとしての護憲、9条はありと思うが、それ以上はリアリティがない。
・武力を持たない(9条)ということと、労働問題は別物。つなげる必要はないのでは?
・「9(条)+25(条)」があってもいいのかなと。目的は改憲の歯止めとすること?憲法を使うこと?生きづらさを解消すること?
・「幸せにする」とは、憲法に書いてない。「不幸せにするな」とは書いているが。
・さまざまな要求を、憲法を根拠にしてやっていけばいいと思う。でもそういうときに、9条は使い物にならない。
・25条を達成するために、いくつかの柱があって、その一つに9条がある。死なない、殺されない要求として。
・経済の営みとして戦争がある。軍需産業の発達や利権。だから25+9?
・わたしたちにとっての理想の「改憲案」を作れば?
・「護憲」というと、既得権を守りたい、っていうメッセージに受け取れてしまう。
憲法は権利書だと思う。
・堂々と、恥ずかしがることなく、(色んな)要求の根拠は憲法だ、って言えるようになりたい。
・いわゆる「人権メタボ」というか「働かざる者食うべからず」みたいな言説をどう乗り越える?
・9条と25条は、生存権保障という点でつながりがある。9条は他国の人々の生存、25条は自国での生存。





などなど…。本当は21時半までだったのですが、22時まで延長して、おなかいっぱいになりました。
みんなで、この1年の動きや実感を概観することで、整理されるとともに新たな課題も見つかって、とても濃密な憲法カフェになりました。(竹)