憲法カフェvol.18 「60周年記念 世界人権宣言と日本国憲法を読む」

 11月22日、高円寺のCAFE indian summerで世界人権宣言と日本国憲法(3章)を読んできました。簡単に報告します。

 まず、世界人権宣言は、今から60年前の1948年12月に、第3回国連総会で賛成48、反対0、棄権8(ソ連ウクライナ白ロシアポーランドチェコスロバキアユーゴスラビアサウジアラビア南アフリカ)で採択されました。草案を作成したのは、オーストラリア、チリ、中国、フランス、オランダ、ソ連、イギリス、アメリカの8ヵ国。
 世界人権宣言それ自体には法的拘束力はありませんが*1、世界人権宣言を基調に作成された国際人権規約には法的拘束力があり、日本も1979年に国際人権規約を批准しています。日本国憲法が公布されたのは世界人権宣言に2年先立つ1946年11月で、日本国憲法も人権尊重の世界的な流れの中で生まれてきたと言えそうです。

 ただ、日本国憲法がそうである以上に、世界人権宣言も義務教育で教わる機会が少なく、また現実とあまりにもかけ離れているため、一般にはほとんど知れ渡っていないという現状が。というか、外務省に掲載されている世界人権宣言は、採択からほぼ60年を経てなお「仮訳文」のまま(つまり正式な訳ではない)ですし、なんと3箇所も日本語の間違いがあることが今回の憲法カフェで発覚しました。ちなみに、日本は「死刑の廃止」「中・高等教育の無償化」「労働者への休日の報酬の支払い」「ストライキ権の保障」といった国連人権規約の一部を留保していたりもします。

 というわけで、参加者からはこんな声が。
「外務省は人権意識が低すぎる」
「日本政府は教育の無償化をしていないから、学校でも世界人権宣言を教えづらいだろう」

 また、世界人権宣言そのものについても、「第16条で婚姻の権利を成年の『男女』に限定しているところがジェンダー的に残念」「第29条の2項で人権が『公の秩序』によって制限されると規定しているのはおかしいのでは?」という批判が挙がりました。

 とはいえ、世界人権宣言も日本国憲法も、まずはその内容を知り、広めていかなければ、その理想を実現する可能性も生まれないはず。ちょうどよいことに、アムネスティが世界人権宣言の内容を中三階級にもわかりやすく説明した「人権パスポート」を無料で配布しています。以下からダウンロードまたは資料請求できますので、よろしければご利用ください。(kanti)

●「人権パスポート」を広めよう!

追記:

 あまり知られていませんが、こんな情報もあります。

 国連の自由権規約委員会が30日、日本の人権状況に関する最終意見書を発表した。死刑制度の廃止や従軍慰安婦問題の解決などを勧告したほか、初めて、表現の自由の制約を撤廃して、自由な意見表明や政治活動が行えるようにするべきだと意見を述べた。

 日本の表現の自由は、自民党・与党の問題点があからさまにされないようにするために、露骨な制約を受けてきた。その制約は、自民党の化けの皮がはがれそうになるにつれ、激しくなった。

 そのいったんが、ビラまきをしただけで逮捕されたり、麻生の家を見に行こうとしただけで逮捕されるような状況として現れている。

 この深刻な状況に、ついに、規約人権委員会が立ち上がった。

 ●国連の自由権規約委員会が表現の自由に対する制約をなくすよう勧告!

*1:慣習国際法として法的拘束力を認める説もあるそうです。